東京高等裁判所 昭和32年(ラ)386号 決定
本件記録中の抗告人の代理人秋田経蔵が昭和三十二年二月二日債務者に宛てて発送した内容証明郵便の写によると、弁護士秋田経蔵は債権譲受人である抗告人の委任によつて、債権譲渡に包含された代理権の行使として債権譲渡の通知をしたことが疏明される。然しながら、債権譲渡の通知は譲渡人がなすべきものであるから、債権譲渡に伴い債権譲渡者は債権譲受人に対して債権譲渡者に代つて債権譲渡の通知をなすべき権限を当然に与えたものと解することはできない。そして、本件記録中の各資料によつても、債権譲渡人が債権譲受人である抗告人に対して債権譲渡の通知をなすべき代理権を与えたことを疏明するに足る資料はない。
また、債権譲渡の通知は代位権の目的となり得ないものと解すべきことは原裁判所の説明するとおりであつて、この点に関する抗告人の主張は採用するに足りない。
(浜田 仁井田 伊藤)